地元では本日がミューちゃんの命日です。
なにか気の利いた絵でも描こうとしたのですが、BW同人の連作を完結させて以降、なんとなく彼女を新規に描くのが躊躇われるので、六年前の絵をサルベージ。
ケイオスの子は秩序という名の正義の味方のサイバトロンに『不完全だから』という理由だけで抹殺されようとしたんだよ。
正義を謡う物語の中で彼女を救おうとしたのは、サイバトロンの実験体という過去を持つ『元サイバトロン』のランページと、一つの身体に二つのDNAを持つ異端者の『元デストロン』、シルバーボルトしかいなかったんだよ。
そうして彼女は、自分を守ろうと戦う二人を守るために、全身全霊の力で彼等の弾丸の間に舞い降りたんだよ。
そうして彼等を互いの弾丸から守り抜いたんだよ。
小さな身体が砕けるほどの衝撃を受けてなお。
それでも彼女は笑っていたんだ。
『トモダチ』を守れた事だけを。
最後にいつもノイズだけでよく見えていなかった彼女の視界がクリアになって。
最後にそのクリアな視界で見たものが、自分を抱えて慟哭する『トモダチ』だったんだ。
そして彼女の死は誰の心に何も残さず、唯一彼女を守ろうとした二人の青年の記憶さえ公式に『消し去られ』。
彼女はそのままストーリーから忘れ去られてしまったんだよ。
物語の作り手の気まぐれが生み出した無意味な死。
せめて視聴者だけは覚えていようではないか。
光の雪となって散った彼女の事を。
それだけが、私に出来る唯一なのだから。